※2011/09/22に自分が行った歌ってみた初心者向けMIX講座生放送の台本です。
■効能
・恐らく、10000再生されるくらいまでは音質でディスられない
・音割れしなくなる
・原曲と同じ音量で完成させられる
・音が大きくなったり小さくなったり歪まなくなる
・オケにボーカルが埋もれなくなる
・お風呂で歌ってるみたいにならなくなる
・カラオケボックスで歌ってるみたいにならなくなる
・ボーカルがオケから浮かなくなる
・ミキサーに依頼しなくて良くなる
■メニュー
1.はじめに
2.最低限の機材をそろえる!
3.いい歌ってみたを作るためにはMIXの前に録音から!
4.DAW上の編集基礎を知る!
5.音割れ、クリップとはどういうことか!
6.各エフェクター機能、表現用途、お奨め完全解説!
7.歌が浮いて聴こえる理屈を知る!
8.残念音質のパターン別攻略!
9.まとめ!(効能の振り返り)
10.質疑応答!
■はじめに
今日お伝えするのはミキサー向けではなく歌い手向けの60点のMIXです。
このMIXをすれば赤点ではない、つまり音質が残念と言われないMIXです。
MIX作業での創作行為の追求はしません。MIX作業での創作行為を行う場合は、むしろこの講座の内容を積極的に破っていってください。
歌の立場から見て、MIXは飽くまで歌で表現をするための「マナー」みたいなものであって、歌の表現の「根幹」ではありません。
MIXは60点を取れれば十分で、歌で頑張れば良いのです。
もし歌で真にすばらしいパフォーマンスができれば、今日教える60点のMIXが叩かれるかもしれません。
まずは今日の講座の60点のMIXができるようになって、この60点のMIXをディスられるような歌のパフォーマンスを目指しましょう。
この60点のMIXがディスられれば、それはもう相当に歌による表現が上手い人だと思います。
その時点で初めて100点のMIXを勉強しましょう。
つまり、歌が好きだっていうことを忘れないようにしてほしいということです、MIXであれこれ悩むのは終わりにしましょう!
なお、MIXが好きになってしまった人はそのまま高みを目指していってください!
また、本放送ではフリーのプラグインのみでMIXを行います。
ニコニコの歌ってみたMIXをする上でフリープラグインだけでMIXを行っても何も支障はありません。
最近、よくwavesを持っている方をニコニコでお見受けしますが、
自分は未だに有料プラグインは持っていません。
それでもwaves持ちのミキサーよりも、同じ音源のMIXにおいて高い評価をいただくことはよくあります。
シェアウェアにはシェアウェアたる理由があるのですが、そこを理解して購入しなければシェアウェアを活かすことはできません。
シェアウェアである理由が、フリーウェアより高音質であるからとは限りません。
省力化に優れているからであったり、動作が軽いからであったり、サポートがしっかりしているからということもあります。
まずはフリーのものを使ってみて、それとシェアウェアを比較して
シェアウェアの何が優れているかが解った上での購入をお奨めします。
最後に、これから教えることは基本的なこととして知っておいて欲しいですが
必ず守らなければいけないことではありません。
承知の上でセオリーを破るのは創作上、大きな意味があります。
■最低限の機材をそろえる!
☆再安で音質的に問題の少ない環境
1.マイク関連
ダイナミックマイク980円
http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=233^CM5^^
マイクケーブル500円
http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=233^MIX030^^
ポップガード1500円
http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=233^PG6^^
マイクスタンド1800円
http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=233^MSBS^^
※これ以上水準を下げるとニコニコのリスナーの耳でも音質的に問題アリと判定される可能性が高い危険ゾーン。
マイク
電力不要のダイナミックマイクと電力を使うコンデンサーマイクがあるが、初心者にはコンデンサーは雑音を拾いやすいのでお奨めしない。
上記のCM5か、ほぼボーカルマイクの標準とされるSM58、SM58のウインドスクリーン(風でノイズが入らないようにマイクを覆うスポンジ)なしで、より高域の録れるSM57あたりがお奨め。
マイクケーブル
高品位な物の方がノイズが少ないが、キリがないのでとりあえずそこそこの安ものでいい。自分はマイクもそれ以外もケーブルはaudio-technicaで統一してます。
ポップガード
マイクに息でノイズが入らないようにするのと、マイクと口の間の距離を一定に保ちやすくするために用いる。
マイクスタンド
マイクを手で握って歌うと振動でノイズが入ることがあるので、それを防止するのと、ポップガードを取り付けるために必要。
2.I/F
オーディオインターフェース。ニコニコではよくI/Fと表記される。
マイクをPCに接続して録音するときに、直接PCに接続するとアナログ回路の時点でPC内の電磁気の影響を受けてノイズが乗ってしまう。
それを避けるためUSBケーブルでPCとI/Fはデジタルで音を伝え、I/Fにマイクを挿すことでノイズの混入を最小限にする。
純粋な歌い手向け:TRI-CAPTURE
http://www.roland.co.jp/products/jp/TRI-CAPTURE/
音質良し。音量良し。単体で生放送にPCの音と自分の声を両方放送可能。マイク、ギター、RCA入力を同時に使用可能。RCAはシンセサイザーやAV機器が入力できる。
エフェクトなし。
SONAR(DAW)の音を放送できない。
MIDI入出力なし。
DTMも見据えた人向け:QUAD-CAPTURE
http://www.roland.co.jp/products/jp/QUAD-CAPTURE/
音質良し。音量良し。単体で生放送のPCの音と自分の声を両方放送可能。マイク、デジタル入力を同時に使用可能。デジタル入力は一般的にはシンセサイザーや別のI/Fの出力などが入力できる。
コンプレッサー装備。
SONAR(DAW)の音を放送可能。
MIDI入出力装備。
※生放送を全くしない前提であれば、TASCAMのI/Fの内、Cubase LEの付属するものでもいいかもしれない。
一応レコーダーも紹介。。
MICRO BR BR-80
http://www.roland.co.jp/products/jp/MICRO_BR_BR-80/index.html
BR-800
http://www.roland.co.jp/products/jp/BR-800/index.html
※マスターは使ったことないので実際に作業上どのような感じになるのかイマイチわかりません。
こちらを選択する場合は購入前にRolandのサイトでマニュアルのPDFを熟読してどのようなことができるか確認の上、人柱になるつもりで自己責任でお願いします。
恐らく想定されるメリット・デメリット
メリット
カラオケBOXへの持ち込みがPC+I/Fに比べやや楽?
後述のDAWなしで音声トラックの完成まで持っていける。DAWより安定してそう?
一応、I/Fとしても使える。
デメリット
PCにデータを移さないとVSTを適用したり波形や音程、各周波数帯の音の成分の含まれ方(スペクトログラム)を解析したりできない。
友達に使い方等を相談できない。
3.DAW
デジタル・オーディオ・ワークステーションの略。音楽を作るための様々な機能を持ったソフト。
録音、MIXもできる。それ以外にも沢山の機能があるが歌ってみたでは使わない。
曲を作ることを考えないのであれば
WindowsならCubaseかSONARにしておけばとりあえず友達に使い方を相談しやすい。
MACならLogic Pro / Logic Express / GarageBandなど。
各機能の使い方や操作性、概念に微妙な差があるが、できることは大体同じ。
I/Fなどのコンピューターミュージック製品を買うと機能制限されたものがおまけで付いてくる。
RolandのI/Fなどを購入すると
SONAR X1 LEが付属するが、不具合が多いという噂も。。
SONAR LEはアップデータがリリースされない。
RolandからもうすぐSONAR X1やMusic Creater 6とセットになったものも販売される。
ただし現時点でのSONAR X1はややバグがある。次回のアップデータあたりでまともに使えるようになるかも?
DAWとしての評判はCubaseの方が良い。
その他にもフリーソフトのDAWがある。
REAPER ver 0.999
KRISTAL
※SoundEngineなどはDAWというより音声編集ソフトなので、できることが限られる。本気でやるなら上記2つに移行した方が良い。
■いい歌ってみたを作るためにはMIXの前に録音から!
1.立って歌う
マイクスタンド等を使用し立って歌う。
息の入り方が全然違う、座って歌うと腹を圧迫してしまい損。
2.マイクから離れて距離一定に
ポップガードを目安にしてマイクとの距離は15cm以上離し、基本的に一定にする。
離さないで口に近付けた状態だと鼻から響く音をマイクが拾えずハナゴエになる。
叫ぶときだけ体を反らすなどしてマイクから適宜距離を取る。
3.反響対策
コンデンサマイクや、ダイナミックマイクであっても周りの音を拾い易いものを使用する場合は
マイクの反対側を布団などで壁を作って、反響が発生しないようにしておく。
周りの反響を拾って、曲が仕上がった時にお風呂で歌っているようになってしまう可能性がある。
4.遠慮なく叫べる環境で
強く発声した声と囁いた声は波形や周波数特性が大きく異なるのでDAW編集で修正できない、
後述のコンプレッサーで囁きを大きくしても、それは強い発声とは違う。
気兼ねなく歌える環境で録ろう。
特にハイトーンシャウト系男性は必須だが女性も発声が遠慮しているのがバレる。
四方が家の中の押し入れなどで録音するか、カラオケやスタジオに機材を持ち込むか、防音室を探す。
環境の準備が無理だったり大変なら開き直ってウィスパー系の歌い方と選曲を追求するのもいいかもしれない。
5.ノイズ対策
なるべく周りの音を拾わないように静かなところで録音する。
カラオケボックスで録る場合は、店員さんになるべく隅の部屋をお願いしたり、隣の部屋の音がする方とは反対にマイクを向けたり工夫する。
電波をはなつものも極力遠ざけたり電源を切る。PCのモニタ、PC本体のファン、携帯電話、エアコンなど。
でも自分はエアコンは付けてるしPCのモニタに歌詞表示させて録ってます、バラードでなければそれほど問題にならないことも多い。
ただし、ミキサーに依頼するときはマナーとして最善を尽くしましょう。
6.音程確認
楽器で音程を確認しながら録る。
速いフレーズなどは音程があやふやになりやすいので、楽器でゆっくり弾いて音程を確かめる。
ゆっくり歌った後、だんだん速く歌っていく。
楽器は、調律が自然には狂わないシンセやキーボードが最強。
レコーダーでなくDAWに直接録音すれば、録ったテイクの音程をその場でグラフ表示で確認可能。
■DAW上の編集基礎を知る!
[オケ]──┬───────┬[マスター]─[モニター]→ヘッドホン
[ボーカル]┼┬[リバーブ]┘
[ハモリ上]┼┤
[ハモリ下]┴┘
DAWでは、オケや録音したボーカル、ハモリなどを同時に再生することで完成音源を作ります。
オケやボーカル、ハモリなどは別々に編集することができ、その単位をトラックと言います。
トラックの出力はI/Fだけでなく、別のトラックにすることもできます。
オケ、ボーカル、ハモリの各トラックをマスタートラックに出力してMIXしつつ、
ボーカル、ハモリはリバーブトラックにも出力して、リバーブトラックもマスタートラックに出力してMIXする。
今回は説明しないが、リバーブを別トラックにしておくと、リバーブのエフェクトが1つで済んで、各パートに掛けるのに比べて管理が楽なのと、
歌本体に影響を与えず残響だけに特殊効果を加えたり編集することができるため。
マスターのトラックをそのまま聴いて作業すると大音量で大変なことになるので、モニタートラックに出力して、
モニタートラックの音量を下げて、それを聴きながら作業する。
書き出すときはモニタートラックへの出力をオーディオI/Fへの出力に変えて出力することで
書き出したオーディオファイルは原曲と同じ音量になるはず。
ボーカルトラック、ハモリトラック、リバーブトラックのボリュームは下げるが
オケのトラックのボリュームは0dbから下げない。
マスタートラックの出力音量は-0.2dbにしておくこと。
リスナーの再生環境上の周波数特性やEQなどによる音割れを防ぐため余裕を持たせておく。
1.ボーカルトラック
[EQ]→[コンプレッサー]→[音程補正]→[コーラスディレイ](→[ダブリングディレイ])→[189msディレイ]→[テンポシンクディレイ]→[リミッター]
やること
EQ…要らない周波数を切る。ノイズ除去の意味合いと、音量を稼ぎやすくなるため。
大きくしたい周波数を増やす(好み)。
コンプレッサー…音をMIXしたときに埋もれにくくする。掛ければ掛けるほど劣化するので音が埋もれないギリギリを狙う。
音程補正…音程を修正する。若しくはケロリを加える。
コーラスディレイ…迫力を付ける。声を電子音楽的にする。
ダブリングディレイ…迫力を付ける。声を電子音楽的にする。これも使うと6人同時合唱状態になるため、余程のことがないと使わない。
189msディレイ…カラオケ感、マイクで歌ってる感を付ける。
テンポシンクディレイ…神々しさを加える。
リミッター…音をマスターに出力する前に、波形の凹凸を減らしておく。
2.ハモリ
[EQ]→[コンプレッサー]→[音程補正]→[189msディレイ]→[リミッター]
EQ…要らない周波数を切る。ノイズ除去の意味合いと、音量を稼ぎやすくなるため。
大きくしたい周波数を増やす(好み)。
コンプレッサー…音をMIXしたときに埋もれにくくする。掛ければ掛けるほど劣化するので音が埋もれないギリギリを狙う。
音程補正…音程を修正する。若しくはケロリを加える。
189msディレイ…カラオケ感、マイクで歌ってる感を付ける。
リミッター…音をマスターに出力する前に、波形の凹凸を減らしておく。
3.リバーブ
[リバーブ]→[リミッター]
リバーブ…閉鎖空間で歌っている感じを付加する。クラシックやアコースティックアレンジの場合は他の音との空気感を合わせる。
それ以外のアレンジの場合は部屋の広さで歌い手のキャラクターを表現したりする。
明るい曲なら淡い感じを、暗い曲なら孤独感を演出できる。多少なら歌唱力の誤魔化し効果も。。
絵を書いたり画像編集する人は「ぼかし効果」「にじみ効果」と考えると演出意図がつかみやすい。
リミッター…音をマスターに出力する前に、波形の凹凸を減らしておく。
4.マスター
[EQ]→[リミッター]
EQ…要らない周波数を切る。
リミッター…音をマスターに出力する前に、波形の音量を出力可能な範囲に押さえる。
■音割れ、クリップとはどういうことか!
ペイントとGAIAを使って説明。
デジタルコンプ・リミッターとアナログモデリングコンプ・リミッターの違いを説明。
■各エフェクター機能、表現用途、お奨め完全解説!
エフェクターを使うときは明確な意図を持って使おう!
逆に表現したいことが明確にあれば、どのエフェクターをどう掛けるかは自ずと決まってくる。
エフェクター選びは、エフェクターの使いこなしの知識以上に大切。
どんなにエフェクターの使いこなしの技術がすぐれていても
使っているエフェクターの品質が悪ければ、音質は下がります。
全く同じ設定にしてもエフェクターが違えば出音が変わることは変わります。
【音質調整系】
1.EQ
イコライザー。音を周波数ごとに大きくしたり小さくしたりできる。
お奨めはreafir。やや重いが、グラフィックEQの中では自由度が一番高いと思われる。
http://www.reaper.fm/reaplugs/
カットでなく調整に使う場合は、基本的には±6dbまでに留める。
使う上での知識としては、20Hz以下は人間の耳にはほぼ聴こえないので
音圧を稼ぐためにもカットしていい。
一般的には50Hz以下がカットされることが多い。
また、3000Hz前後までは日本語の聴きとりに重要な帯域で、電話もこの帯域だけはしっかり聴こえるように作られている。
3000Hz前後までをカットしてしまうと何を言ってるか聴きとれなくなるので注意。
4000Hz、8000Hz、16000Hzをブーストするとよく響くいい音になるが、デジタルっぽくなる。
ギターのうるさいロックのオケと合わせるときは、ギターに押されて声が小さくならないようにギターが被ってくる帯域以下を多めにカットしておく。
これらの知識を持った上で、後は自分の好きな声になるように好きにしていい。(と思う。)
なぜなら、これ以外のことはマイクの周波数特性や人の声質によって変わってくるはずだから。
2.コンプレッサー
音を潰して音量を上げる云々と憶えるよりも、
強くかけると混ぜたときに音が埋もれにくくなる、その代わり音が劣化する、と憶えた方が実用的。
お奨めはreacompとtbt Saturated Limitter、tbt Pocket Limitter。
最良がreacompだが、処理が重いときは、音が色付けされるがSaturated Limitter、
まだ重い場合はアタックが0になってしまうがtbt Pocket Limitterを使うと良い。
また、プラグインを沢山挿すことができない人は初心者お断りだがVariety of SoundのNastyVCSを使うと
一つのプラグインでEQとコンプを両方使うことができる。
http://www.reaper.fm/reaplugs/
http://hem.bredband.net/tbtaudio/archive/archive.htm
http://varietyofsound.wordpress.com/vst-effects/
BLOCK FISHはSaturated Limitterと同じくらい音が色付けされるのと、やや操作し辛い。
classic compressorはネット上の評判とは裏腹に音量が異様に上下するので非常に扱い辛い。
Buzz CompはニコニコのオケとMIXするには稼げる音圧が足りない。
【特殊効果系】
3.音程補正
ボーカルの半端な音程を最も近い音程に合わせる。
また、音程のグラフでのモニタリングが可能。お奨めはGSNAP。
特殊効果として使うならKerobeeもいい。
http://www.gvst.co.uk/downloads.htm
http://www.g200kg.com/jp/software/index.html
4.ディレイ
山彦。掛け方で演出できることが変わる。
現実世界ではリバーブが発生することは多々あるが、理想的なディレイが発生することは稀であるため電子音楽的になりやすい。
お奨めは軽く単純なmda Delay、mda DubDelay。
やや複雑なインターフェースでもpdfを読んで理解していけるなら
Variety of SoundのNastyDLAが高機能且つ動作が軽くてお奨め。
http://mda.smartelectronix.com/
http://varietyofsound.wordpress.com/vst-effects/
SONAR付属のSonitus:Delayは高機能だがバグがあるのでSONAR X1の人はX1b以上のアップデータを適用、
SONAR 8.5以前の人は別のディレイで代用すること。
主な掛け方は以下の通り。
・コーラスディレイ
極短い時間でLとRに山彦を作り、同時に複数人が歌っているような特殊効果を作るディレイ設定。
電気的な声になる。声が女性的な人が迫力を付けるのに良い。
・ダブリングディレイ
極短い時間で山彦を作り、同時に複数人が歌っているような特殊効果を作るディレイ設定。
学校の集会などで壇上の人が喋ると複数のスピーカーから音が時間差で聴こえるような感覚に近く、いかにもマイクで歌っている感じになる。
ルカルカ★ナイトフィーバー/samfree Feat. 転少女(CDニコニコオムニバスツアー版)
Believe/嵐
ラック DON'T CALL ME CRAZY/ポルノグラフィティ
恋する瞳は美しい/Superfly
Do Me More/安室奈美恵
君はス・テ・キ/平井堅
A Perfect Sky/BONNIE PINK
二人のアカボシ/キンモクセイ
キセキ/GReeeeN
アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士/DJ OZMA
ほとんど/ケツメイシ
FINALじゃない方のDISTANCE 多くの曲のサビとか/宇多田ヒカル
多分ほとんどの曲にうっすら/小田和正
・189msディレイ
エンジニアの内沼映二氏の経験則に基づいたディレイ設定。
サウンド&レコーディングマガジンの単行本に掲載されニコニコでも異様に普及している。
フィードバックは26%、山彦はセンター定位とされている。
ニコニコではこれが黄金律のように言われているが、
「モーニング娘。」のボーカル処理に適用されているという点が重要。
良くも悪くも「カラオケ感」を演出する設定であることに注意。
・ひょっこりひょうたん島/モーニング娘。
・ロマンティック 浮かれモード(多分)/藤本美貴
・草原の人(多分)/松浦亜弥 つんく♂
・テンポシンクディレイ
曲のテンポに合わせて山彦を発生させるディレイ設定。
神秘さ、神々しさを演出する設定。
一方で存在感の身近さが失われる。
曲のリフレインでドラムが止んでオケが寂しくなったところでボーカルに強めにかけると
それだけで声が伸び、歌唱力が上がったような錯覚を与えることができる。
エレクトロニカ向き。
炉心融解/iroha
メランコリック/Junky_Box
Last Night, Good Night/kz
メビウス/Janne Da Arc
そばかす/中川翔子
サボテン 渦 ネオメロドラマティック ROLL ギフト 今宵、月が見えずとも/ポルノグラフィティ
Beep!!/Superfly
Wait & See ~リスク~ Beautiful World/宇多田ヒカル
BANZAI BEAT TREE CLIMBERS/木村カエラ
ultra soul/B'z
RED x BLUE/福山雅治
シシカバブー/ゆず
Forever Memories/w-inds.
BACK ON MY FEET/BOOM BOOM SATELLITES
Yeah!めっちゃホリデイ/松浦亜弥
Lick me/倖田來未
Baby Don't Cry/安室奈美恵
bye bye/BENI
Boys & Girls monochrome fairyland Greatful days/浜崎あゆみ
・リミッター
コンプレッサーの機能限定版。音割れを防ぐためのもの。
お奨めはBuz Maxi3。音割れ耐性が高く、音の余計な色付けがない。
http://www.x-buz.com/Products.html
TLs Pocket Limitterは音割れ耐性は同じくらいあるが、サチュレートで色付けされる。
W1リミッターは音割れ耐性があまりない。
SONAR付属のBoost 11はフリーのVSTよりも音割れ耐性が低い。
・リバーブ
残響。例えばお風呂の中で歌った感じ。ディレイが∞に連続したものと考えることができる。
クラシックやアコースティックアレンジの場合は他の音との空気感を合わせる。
それ以外のアレンジの場合は部屋の広さで歌い手のキャラクターを表現したりする。
明るい曲なら淡い感じを、暗い曲なら孤独感を演出できる。多少なら歌唱力の誤魔化し効果も。。
絵を書いたり画像編集する人は「ぼかし効果」「にじみ効果」と考えると演出意図がつかみやすい。
ディレイと違い、こちらは電子音楽的になりにくい。
お奨めはVariety of SoundのepicVerb。
複雑なインターフェースだがプリセットがあるので、それから選んで掛け具合を調整するだけで
普通のリバーブに比べて、単純にお風呂で歌った感じになりにくい。
http://varietyofsound.wordpress.com/vst-effects/
■歌が浮いて聴こえる理屈を知る!
・特にエレクトロニカの場合、オケが鬼音程鬼リズム、音量一定なのに歌だけが音程、リズム、ダイナミクスを外しているから(派手なバーチャルCGの背景に実写を合成しても浮くのと同じ)
・クラシック、アコースティック系の場合、音を奏でている空間が同じでない
・ボーカルの音作りの派手さ、地味さがオケの音とあまりにかけ離れているから
↓通常のPOPSであれば空気感はあまり関係ない。オケに比べてあまりにも派手だったり地味な音作りにならなければOK。
独裁 HEAT CAPACITY/T.M.Revolution
今宵月が見えずとも アニマロッサ リンク ヒトリノ夜 アポロ/ポルノグラフィティ
ultra soul/B'z
I'm here saying nothing/矢井田瞳
Alright!!/Superfly
BEAT happiness!!!/木村カエラ
ガラスの少年/Kinki Kids
Paradox/w-inds.
gogoheaven/SPEED
TAKE BACK/倖田來未
Body Feels Exit Chase the Chance a walk in the park/安室奈美恵
Good Bye 夏男 LOVE涙色/松浦亜弥
草原の人/つんく♂ 松浦亜弥
ロマンティック 浮かれモード/藤本美貴
キラキラ こころ/小田和正
君の名前を呼んだ後に/槇原敬之
・周波数、左右でオケの楽器がある前に歌があるから(オク下で歌ったらベース、ギターと被った等)
■残念音質のパターン別攻略!
・音が歪んだり割れたりオケに埋もれてる系
録るときに音割れしないように録るのはもちろん、
reacomp以上の性能のコンプを使ってしっかりボーカルをコンプレッションする。
また、オケと被る帯域は思い切ってカットしてしまう。
・音量が小さい系
コンプレッサーとリミッターを使い、ボーカルをしっかりコンプレスしておき、
オケは音量を原音のままMIXして、最後にリミッターをかける。
・お風呂、カラオケボックス、逆に歌がドライ過ぎ系
オケのテンションから極端に異なるような音作りをしない。
・ノイズ混入、ラジオボイス系
最低限の機材を揃える。EQで音質補完の最善を尽くす。
■まとめ!(効能の振り返り)
・恐らく、10000再生されるくらいまでは音質でディスられない
放送の内容が全部できれば音質でディスられないはず。
・音割れしなくなる
各トラックの最後に品質の高いリミッターを必ず設置することで音割れしなくなる。
・原曲と同じ音量で完成させられる
ボーカルを不要な帯域をカットし、充分コンプレスしておくことでオケの音量を下げずにMIXすることが可能になる。
・音が大きくなったり小さくなったり歪まなくなる
ボーカルを充分コンプレスしておき、オケの楽器と被る帯域をカットしておくことで
ボーカルの音量が大きくなった箇所も小さい箇所と同じくらいに潰されるため
ボーカルがオケを押し込んでしまうことがなくなり、歪まなくなる。
・オケにボーカルが埋もれなくなる
ボーカルを充分コンプレスしておくことでボーカルがオケに押し込まれて聴こえなくなることを防ぐことができる。
・お風呂で歌ってるみたいにならなくなる
epicVerbを使うことで、単純なお風呂状態を防ぐことができ、
リバーブの演出意図を知ることで過剰にかけたり足りなかったりすることなく、適当な適用量がわかるようになる。
・カラオケボックスで歌ってるみたいにならなくなる
ディレイの演出意図を知ることで過剰にかけたり足りなかったりすることなく、適当な適用量がわかるようになる。
・ボーカルがオケから浮かなくなる
「浮く」とはどういうことかを理解することで、浮かないようなボーカルトラックが作れるようになる。
・ミキサーに依頼しなくて良くなる
自分でMIXできるようになってミキサー要らず。